寿退社の真相

 看護師の退職理由の中に、“寿退社”というのがあります。言葉通り、結婚をするにあたり仕事を辞めるという事。
退職理由の第1位といわれている“結婚”や“出産”。その本当の理由は、「そう言わなくては辞められない状況」という人が少なくない為なのだとか。
 というのも、結婚を理由にした退職ほど簡単に辞められる方法がないといいます。
 看護師の仕事は、ご周知の通りとても厳しいハードワーク。“結婚”と両立する事が難しいという前提があるのです。そのため“結婚”を理由に退職する人の中には、実は人間関係や仕事に対する不満や悩みを言うに言えなくて、“結婚”を理由にして辞めるという人も実は多いようです。
 そこで、看護師をまとめている上層部というのは、彼らの辞めたいと思っている本質的な理由を理解、 改善しない限りは、こうした現象が繰り返されるといえるでしょう。

さて、逆を言えば、“結婚”を理由に辞めさせられるという人も少なくありません。特に「“妊娠”をしたかも」といっただけで職場の態度は一変します。
企業というのは、本来“妊娠”を機に退職を強要するのは法律で禁止されています。しかし、最近では妊娠・出産をした事を機に精神的・肉体的な嫌がらせを意味するマタニティ・ハラスメントが頻繁に起こっているのです。
 職場でマタニティ・ハラスメントをされた事があるという人は、25.6%。これを多いか多くないかという判断はきっとその人によると思います。しかし、この調査によれば、以前問題視されていたセクシュアル・ハラスメントを経験した人の17%を大きく上回りますから、決して少ないとはいえない数字なのではないでしょうか?
マタニティ・ハラスメントは「身体が心配だから」「あなただけの身体じゃない」という理由に、退職へと誘導される事も少なくありません。そしてそれを仇にわざと重いものを持たせたり、過労働をさせて仕事は難しいかもという状況に陥らせるのだといいます。しかも、経産婦の少ない職場に多いといいますから、寿=退社が当然とされている看護師の職場環境も例外ではないのかも。

寿退社。この言葉を聞いただけではとても判断しにくいですが、その裏側では自分からそれを望んだ人、そうなるよう仕向けられてしまった人に分かれてしまうと思うと、なんだか残念な気がします。
“結婚”や“妊娠”というめでたい理由なのですから、明るい気持ちで退職したいですね。


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